2011年度 合格記②(Iちゃん)

2011年度合格記②
Iちゃん編

Iちゃんは今からちょうど4年前、新3年生になったときに家庭塾に入ってきました。
お住まいが遠いこととお母様が超多忙な為、月に二回程度と少な目でしたが、それでも休まず通い続けてくれました。

そもそものきっかけは、お母様が2007年に学習相談にお越しになったことでした。
「とにかくなんでもゆっくりです。“ゆっくり”などという生易しいものではなく、心配になるほど遅いのです。それが原因で、(学校)テストも途中で時間切れになり、評価も悪くなってしまうのです。自分のペースでやればすべて出来るのですが。」

慎重な性格の奥に、秘めた意思も感じさせるお嬢さまです。
が、確かに遅い。親御様のご心配も尤もです。

「~~~なの?」という学習に関する問いかけに、やっとのことで頷くのに5秒掛かります。
慎重に考えてから、いったん逡巡し、最後に私へのサービスで、にっこり微笑んで頷くまでに“5秒”。
これでは学校でのあらゆる集団行動に合わせるのは、ご本人にも負担でしょう。


早速「数の学習」で速度をつける指導を始めました。
しかし、これも効果はいまひとつです。
お母様が多忙のため、小3のIちゃんに、ご家庭で継続的に見てあげる人がだれもいなかったのです。
出来ない状況をあれこれ言っても仕方ないので、「この場だけ楽しんでやればそれでよし」と、途中から考えを切り替えました。

5年生からは回数も増やし、週に一回四谷のシリーズを一回分ずつ終わらせていきました。
自己解説も、ゆっくりした口調ではありますが、“ハッキリ・しっかり”出来るまでになってきました。

しかし中学受験するには、問題を解く速度がまだまだの段階でした。
6年生で、いよいよその点の指導を強化しようと思っていました。

ところが…
2011年3月から始まった単発学習に、Iちゃんからの申し込みがぱたっと途絶えました。
「何かあったのだろうか」と気にはなるものの、そのまま数ヶ月が経ちました。

2~3ヶ月に一度、ポツリ ポツリとお母様から近況報告がありました。

秋になって、お母様が来訪されました。
「娘が先生に会いたがっています。『どうして家庭塾に行かないの?』と聞かれますが、どうしても今は送迎が出来ない状況なので、せめて客観的な意見を伺いたくて訪ねました。」

結局塾にも行かず、家の誰からも教わらずに、四谷シリーズを自習して受験勉強をしたのです。
いちばん気がかりの「解くスピード」も、内容の理解と併行して、自然に解消されたということでした。

つい先日、2校合格(偏差値は両方とも51)の知らせが届きました。

自学自習して合格を勝ち取る話は、最近めっきり聞かなくなりましたが、Iちゃんの場合、「ゆっくり上昇」が守りきれたのは、自分のペースを貫き通せる「ひとり勉強」の賜物だと思います。

まもなくお食事会で、まる一年ぶりにIちゃんに会います。
変わったかな?
すごく楽しみです。

Iちゃんの家庭塾での3年間の軌跡はこちらです。
by youkosodesu | 2012-02-11 11:14 | I(女の子)
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